緊急対応 ~Emergency Response~

業務内容

本日は基幹相談支援センターの業務の1つでもある、「緊急対応」について解説します。

緊急対応はそのままズバリ、「緊急時の対応をする」ことです。捻りも何もない、そのままの意味なのですが、基幹相談支援センターでは時々、このような対応を取らないといけない時があります。大体は勤務が終わる直前だったり、祝日で行政も医療機関もやっていない時に対応を依頼されるので、出来ることが限られてしまい、途方に暮れることもあります。

具体的な緊急対応の内容ですが、これはいくつかに分かれます。最も多いのが「家族(主に両親)に何らかのトラブルがあり、サービスの対象となる人(多くは障害を持つ子供)の世話が出来なくなった」というものです。

次に多いのが家族による「暴力」や「虐待」により、家にいられなくなったので避難場所を確保したいというもの。これは親から本人(子供)へという場合もあれば、夫から本人(妻)、本人(子供)から親など様々なケースがありますが、この場合も当事者の方が何らかの障害を抱えていることが多いです。

「暴力」や「虐待」を受けている対象者が18歳未満の場合は「児童相談所」が中心になって対応しますが、18歳以上の場合は基幹相談支援センターが中心に対応することになります。

「緊急対応」の内容は他にもありますが、基幹相談支援センターには主にこの2つが交互に、若しくは連続して舞い込んできます。

「緊急対応」の依頼が入った時に一番最初に行うことは、ずばり「状況の整理」です。これが分かっていないと次の対応が取れないので、「実際に何が起きたのか」「本人の状態はどうなのか」「家族の状況はどうなのか」「どのような対応が必要なのか」「それはいつ頃まで続くと見込まれるか」などを聞き取り整理します。ここまでが第1段階。

ある程度情報が整理できたら、次は必要な対応が出来る支援機関を探します。「緊急対応」の多くは「本人と家族を離したい」「本人の世話が出来ないので生活支援をしてくれる所に預けたい」という依頼になるので、宿泊ができ、かつ日中の活動も支援してくれる支援機関を探すことになります。(家に帰れないので宿泊だけでなく、日中も過ごせる場所も必要になります)

受け入れてくれる支援機関が見つかったら、「いつまで対応が可能か」「その支援機関までの移動手段をどうするのか」を詰めていきます。宿泊期間が短期であれば1ヶ所で済むのですが、中長期的な期間になると複数の支援機関を利用することになり、その分だけ移動手段を含めた様々な調整が必要となります。どうしても宿泊先や移動手段が確保できない場合もあるので、ビジネスホテルや簡易宿泊所の利用を勧めたり、区や基幹相談支援センターの職員が送迎を担当することもあります。ここまでが第2段階。

第2段階まで調整がつくと「緊急対応」は一旦小休止となります。小休止と言っても何もしないわけではなく、宿泊期間を終えた当事者の方に必要となるサービスや支援などを検討し、利用に向けて調整を進めて行きます。この際の考え方としては「当事者の方が再度自宅や、住み慣れた地域で暮らしていく」方向で考えていきます。その中で選択肢として良くあがるのが「グループホームへの入居」「訪問系のサービスの導入」「生活保護の申請」「計画相談事業所の選定」「成年後見人制度の利用」などです。それらを使える状態にまで整え、当事者の方が引き続き地域で暮らせるようにサポートします。ここまで整理出来れば「緊急対応」はひとまず終了となります。

勿論、この例のように上手く行くこともあれば、自宅や地域に戻れず、他区や他市の施設を利用せざるを得なくなる時もありますし、行先や使えるサービスとうまく繋がれず、宿泊期間が長期に及ぶこともあります。

緊急対応で困ること

1番困ることは家族や当事者の方が、どこのサービスにも繋がっていないという場合です。「緊急対応」を依頼される際、当事者の方の殆どは障害のある方であり、区役所や何らかの支援機関や医療機関に繋がっていることが多いので、情報を確認しやすかったり、福祉サービスなどにもつなげやすかったりするのですが、どこにも繋がっていない、誰もこれまでの状況を把握できていない場合は大変です。当事者の現在の状況を正確に把握することも難しいですし、誰に聞けば良いのかも分かりません。情報がなければ他の支援機関に依頼することも出来ないので、このような場合は対応の困難さが一気に跳ね上がり、素早い対応が出来なくなります。そうなると当事者の方や家族に新たにトラブルが起きてしまうかもしれません。

幸いなことに、さらに大きなトラブルになることは、これまでにはありませんでしたが、これからもそれが続くとは限りません。私たちとしては「緊急対応」の依頼が入った時は、可能な限り早期介入と対応をしたいと考えていますので、家族や当事者の方で障害や病気を持たれている方は、何らかの福祉サービスや行政機関と繋がっておくことを強くお勧めします。勿論、お住いの市区町村にある基幹相談支援センターでも構いませんので、1度相談をしてみてください。

まとめ

以上が、基幹相談支援センターの業務の1つである、「緊急対応」の説明となります。情報量が多く、難しい内容だなと思いながら記事を書いていましたが、「緊急対応」について少しでも知ってもらえれば嬉しいです。基幹相談支援センターにはこれ以外にも様々な業務がありますので、引き続きこのような形で紹介していきますので、是非是非ご覧ください(*^^*)

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