「行政や病院、学校にも伝えたのにまた最初から説明しないといけない」
相談先が増えるほど家族が説明や連絡調整に追われ、同じことを延々と話して回る。そんな戸惑いはありませんか。
基幹相談支援センターには、地域の関係機関と一緒に、支援のつながりを整える役割があります。
目指すのは、本人の希望をもとに「誰が、何をするか」が分かり、家族だけに負担が集中しない支援です。
今回は、基幹相談支援センターの取り組みとして例にあげられやすい。横浜市の仕組みを中心に、その連携の中身を紹介していきます。
基幹相談支援センターは、支援者同士の相談も支える
横浜市の基幹相談支援センターは、区福祉保健センターや精神障害の方に対応する生活支援センターなどと連携して、本人や家族の相談に対応しています。
普段のサービス利用の調整は、計画相談の相談員などが担うこともあります。対応に迷ったときや、複数の分野(異なる分野の障害を重複している場合など)にまたがる相談では、基幹相談支援センターも一緒に支援方針や役割分担を考えます。
本人や家族の相談を受けることと、支援する人を支えること。 どちらも、基幹相談支援センターに任されている仕事です。
どことつながり、何を一緒に考えるのか
主な連携先と、話し合う内容を整理すると、次のようになります。窓口や役割分担は、相談内容や地域の体制によって異なりますので、詳細はお住まいの地域の行政などのHPをご参照ください。
| 主な連携先 | 一緒に考えること |
|---|---|
| 計画相談の事業所・通所先・ヘルパーなど | 本人の希望、日々の支援方法、サービス利用の調整 |
| 区役所・福祉保健センター | 必要な制度や申請手続き、保健・福祉の支援 |
| 病院・訪問看護・医師会など | 治療上の留意点、退院後の暮らし、地域で必要な支援 |
| 学校・療育機関・就労支援機関 | 卒業や就職に向けた準備、本人に合う関わり方の引き継ぎ |
| 地域包括支援センター・ケアマネジャーなど | 高齢の家族と、障害のある本人の支援の調整 |
| 地域活動ホーム・生活支援センター・社会福祉協議会・家族会など | 生活相談、居場所、本人が望む地域とのつながり |
※表は横浜市の場合
必要に応じて、権利擁護の相談機関や法律の専門職などともつながります。
大切なのは、困りごとに応じて必要と思われる相手と、必要な情報や支援方法を共有することです。普段の情報共有では、本人に目的や共有する範囲を説明し、許可を取ったうえで意向を確認しながら進めます。
連携が必要な場面を具体的に説明
ここでは、よく見られる相談場面を上げて説明します。
①支えてきた親が入院するとき
障害のある本人を支えてきた親が、急遽入院することになりました。食事はどうするか。服薬がある場合どのように飲んでもらうのか、トイレや入浴はどうするのか。通所の送り出しは? 夜はどこで、どう過ごすか。考えないといけないことがたくさん出てきます。
本人の希望を確認したうえで、計画相談の相談員、区役所、通所先、ヘルパーや短期入所の事業所などが、必要に応じて相談・検討します。基幹相談支援センターも、支援の整理や関係機関との調整を支えることがあります。計画相談が入っていない場合は、基幹相談支援センターが中心になって進めていきます。
ここまで決まると、「次はどうなるのか」という見通しを持ちやすくなります。
受け入れ条件や空き状況によって、すぐに支援が整わないこともあります。だからこそ、普段から家族の支えが変わる場合を想定し、地域活動ホームに登録しておいたり、短期入所の支給決定を受けておくなど必要な準備を進めておくことが大切です。
➁学校を卒業。支援の工夫を次の場所へ渡す
進路先が決まっても、生活がそのまま安定するとは限りません。
学校では落ち着けていたのに、通所先では不安が強くなる。実は、予定の伝え方や休憩の取り方が、学校と大きく違っていた。
そんなときは、本人や家族の了解のもと、学校でうまくいっていた工夫を、次の支援先と共有することが考えられます。また卒業前にカンファレンスを開催、必要な情報を進路先を含めて共有し、前もって支援の組み立てを行うこともあります。
引き継ぎたいのは、「苦手なこと」と「うまくいくための工夫」の両方です。
計画相談や学校、通所先などが話し合い、必要に応じて基幹相談も一緒に、本人に合う方法を考えます。
③本人の障害と、親の介護が重なった
本人の相談は障害福祉、親の相談は高齢者福祉。それぞれに窓口があっても、一つの家の暮らしはつながっています。自分たちの担当分野だけを支援していれば良いという話ではありません。
親の体調が悪くなれば、これまで担っていた食事の準備や金銭の管理など、身の回りの世話や外出の付き添いも難しくなります。場合によってはそのことを契機に、それぞれが新しい生活を考えなければならない時もあります。
本人側の支援者と、地域包括支援センターやケアマネジャーなど親の支援者が、それぞれの支援内容を確認し、家族の誰が何を支えてきたのか、その支えが変わったら何が必要かを、一緒に考える場面です。
会議の最後に、必要なことは決まっていますか?
関係者が集まって話せたとしても、次の動きが曖昧だと、本人や家族は勿論、関係者も「それで、結局どうなるの?」となってしまいます。
会議や電話調整の最後には、次の4つを確認するようにしています。
- 誰が、何を確認するのか
- 誰が情報を集約してまとめるのか
- いつまでに、本人や家族へ結果を伝えるのか
- 状況が変わったら、どこへ連絡するのか
「見学先や短期入所先に空きがあるか、相談員が金曜日までに確認する」
「各事業所や学校などに聞き取りを行い、その内容は相談員に集約する」
「来週、本人と家族に結果を伝え、次の予定を相談する」
ここまで具体的になると、待っている側も支援を行う側も見通しを持ちやすくなります。
一人の相談を、地域の改善につなげる
基幹相談支援センターは、相談員への助言や研修などにも取り組みます。
また、「卒業後に相談先が分かりにくい」「支援者同士で相談できる場が少ない」「いざという時の受け入れ先が少ない」といった声が重なれば、地域の課題として考えます。
自治体や関係機関と、自立支援協議会などで課題を共有し、引き継ぎの方法や支援体制を見直す。こうした地域づくりも、基幹相談支援センターの任されている役割です。
「家族だけでは、つなぎきれません」と相談してください
制度の名前や、各機関の役割を調べてから相談する必要はありません。
「誰に何を伝えればよいか分からない」
「家族だけで連絡や日程調整をするのが難しい」
まずは、その困りごとをそのまま伝えてもらって構いません。そこから必要な相談先につながっていきますし、担当の相談員がいれば、その人に相談する方法もあります。
横浜市の基幹相談支援センターは、本人や家族に加え、地域の人や関係機関も相談の対象となっています。対象の年齢制限(64歳まで)はありますが、診断の有無を問わず相談でき、相談の利用料はかかりません。
本人や家族だけが、支援者をつなぐために走り続けなくてよいように。
そのために、地域の誰と、どんな役割を分け合えるか。基幹相談支援センターは、そこを一緒に考える相談先でもあります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
参考情報(※例にあげた横浜市の情報)
2026年11月1日確認。本文の相談場面は架空の例であり、特定の本人・家族・機関の事例ではありません。

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