基幹相談支援センターの相談員は、計画相談員のところへ何をしに行くのか?

基幹相談支援センター

この記事では、基幹相談支援センターの相談員が、計画相談支援事業所を訪問するときに何をしているのかについて書いてみます。

結論から言うと、何かをチェック(監査)しに行くというより、

「地域の相談支援を一緒につくっていくため」という意味合いが大きいです。

筆者自身も、年に数回計画相談員さんのところへ訪問することがあります。(直近では来月あたりに2件ほど)

訪問される側からすると、

「何を聞かれるんだろう」

「何か指摘されるのかな」

「そもそも何をしに来るのだろう」

と、身構えてしまうことが多いと思います。でも、少なくとも筆者が訪問するときに知りたいのは、もっと現場に近いことです。

まずは、事業所の状況を聞く

訪問は事前に聞き取り用紙を配布し、その内容を確認したうえで行っています。聞き取り用紙で聞いているのは、主に普段の事業所の様子です。

例えば、

  • 今、どれくらいの利用者を担当しているのか
  • 新規相談を受けられる状況なのか
  • どんな相談が増えているのか
  • 相談員は全体で何名いるのか
  • 事業所の強みはどのようなところか
  • 相談支援専門員が困っていることはないか

といったことです。

こういう話を聞いていると、地域の状況がかなり見えてきます。

「新規相談を受けたいけれど、もう担当件数がいっぱい」

「障害児の相談が増えている」

「一人で対応するには難しいケースがある」

「事業所自体の運営が厳しい」

など、実際に事業所へ行き直接話を聞かないと分からないこともあります。これらは数字だけでは見えない部分です。

困っているケースについて一緒に考える

訪問したときに、よく話題になるのが困難ケース事業所運営についてです。

相談支援専門員が一人で抱えているケースについて、「こういうケースがあるんだけど、どうしたらいいだろう」と相談を受けることがあります。

また、「事業所の運営が苦しく、赤字が続いており事業の継続だけで手一杯」という相談も多いです。

もちろん、基幹相談支援センターが「正解」や「黒字運営のノウハウ」を持っているわけではありません。

むしろ、

「他に関われそうな機関はないか」

「別の見方はできないか」

「この部分は区役所にも相談してみようか」

「地域の別の支援機関につなげられないか」

「本来は請求できるのに取りこぼしている加算はないか」

「今後、新たに追加(申請)できる加算はないか」

など、一緒に整理していくことの方が多いです。

特に困難ケースの場合、基幹相談支援センターが一緒に関わることもあります。

計画相談員だけで抱え込まなくていいようにする。これは、基幹相談支援センターの相談員が訪問する大きな意味の一つだと思っています。

制度改正や地域の情報を共有する

障害福祉の制度は、とにかく変わります。

報酬改定があったり、加算が変わったり、新しい制度が始まったりします。

制度について調べていても、「結局、実際の支援ではどうすればいいの?」となることがあります。(行政によって考え方や解釈が違うこともありますし・・)

そんなときに、基幹相談支援センターから情報を伝えたり、逆に計画相談員さんから、「現場ではここが困っている」という話を聞いたりします。

制度をただ説明するだけではなく、現場で何が起きているのかを拾い、その問題に制度をどう絡ませていくか、それを考えるのも大事なことだと思っています。

聞いた話を、その事業所だけの話で終わらせない

個人的には、ここがかなり重要だと思っています。

例えば、複数の相談支援事業所から、「この部分で困っている」という同じ話が出てきたとします。

それは、その事業所だけの問題ではなく、地域全体の課題である可能性が高いです。

そういう声を集めて、必要に応じて自立支援協議会や専門部会などの場に繋げ、「地域としてどうしたらいいか」を考える。基幹相談支援センターには、個別の相談を受けるだけではなく、こうした地域づくりの役割もあります。

そのような意味でも事業所訪問は、単なる情報収集ではないと思っています。

「訪問する」と言われると身構えられるかも??

ここは非常に誤解されやすいところです。

基幹相談支援センターが相談支援事業所を訪問することと、行政による監査や立入検査は同じものではありません。(そもそも我々にそのような権限はありません)

ただし、基幹相談支援センターには、相談支援従事者に対して相談・助言・指導その他の援助を行う役割があります。

そのため、「指導するところではありません」と完全に言い切るのも違うのかなと思います。

大事なのはお互いの関係性です。「(業務が)できているか確認します」という関係ではなく、「何か困っていることはありませんか?」から始め、そこから深い話を聞いていく。決して上から目線にならずに一緒に考え、時には教えを乞うという姿勢で臨みます。(特にベテランの相談員さんにはこの姿勢が重要です)

基幹だから何でも知っているわけではないので、必要なら経験豊富な相談員さんや別の専門機関に聞いたり、分からなければ調べます。

その方が、基幹相談支援センターの役割に合っていると思いますし、各事業所との関係づくりや協力体制の構築もスムーズに進みます。

まとめ

基幹相談支援センターが計画相談支援事業所を訪問する理由を簡単にまとめると、

事業所の状況を知る。
・困っているケースを一緒に考える。
・制度や地域の情報を共有する。
・そして、そこで聞いた声を地域づくりにつなげる。

ということだと思います。

計画相談員と基幹相談支援センターは、「訪問する側」と「訪問される側」という関係だけではありません。同じ地域で相談支援に従事している協力者です。

「ちょっと基幹に聞いてみよう」「基幹がついていてくれたので不安は感じなかった」と思ってもらえる関係を作っておく。

そして我々側も、「地域で今、何が起きているのか」を計画相談員さんから教えてもらう。そうやってお互いに繋がっていくことが、最終的に地域の相談支援体制の強化に結び付くのだと思っています。

地域の相談支援(それ以外の支援も)は、どこか一つの機関や事業所だけで作るものではなく、一緒に作っていくもの、ということがこの記事から伝われば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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