基幹相談支援センターで働いていると、「これも基幹に相談が来るんだな」と思うことがあります。
個別の相談に対応していたと思ったら、次は自立支援協議会の会議の調整。そうこうしていると次の訪問の時間になり、戻っても不在時にあった電話への折り返しなどで、記録を打ちたくてもなかなか進まない。そうこうしているうちにあっという間に退勤時間に・・。そんな日もあるのではないでしょうか。(むしろ、そんな日ばかり?)
この記事では、基幹相談支援センターの仕事で起こりがちなことを、5つの「あるある」にまとめてみました。地域や運営体制によって違いはありますが、「うちにもあるな」と思いながら読んでいただければと思います。
対応に迷った相談が、基幹に集まってくる
「いくつかの機関が関わっているけれど、皆がばらばらに動いていて話が進まない」
「今あるサービスだけでは、生活を支えきれない」
「他の機関に相談したら断られた。どこに相談すればよいのか分からない」
こうした相談が、基幹に寄せられることがあります。
複数の課題が重なっている場合もあれば、担当者が対応に迷い、誰かと一緒に整理したい場合もあります。ただ、相談の段階では、何が難しいのかがはっきりしていないこともあります。話を聞いていくと、本人への支援というより、関係機関の役割分担が整理されていないことが分かる場合もあります。
そのため、基幹が関わるときは、まず状況を聞き、どこで支援が止まって、どこで一番困っているのかを確認するところから始まります。
相談を受けたからといって、すべてを基幹が引き受けるわけではありませんが、「それはそちらの仕事です」「基幹の対応業務(分野)ではありません」と返すだけでは、困っている状況も変わりません。
何に困っていて、誰が何を担うのか、基幹はどこを手伝うのか。その整理に時間がかかるのも、この仕事のあるあるです。
「基幹さんから言ってもらえませんか?」と頼まれる
「基幹さんから話してもらえれば、先方も聞いてくれると思うんです」
こんな相談を受けることもあります。
基幹が間に入ることで話し合いの場をつくれたり、別の機関につながったりすることはあります。ただ、基幹から伝えれば、必ず希望どおりに進むというものでもありません。受け入れる側にも、人員や設備、支援体制や支援の考え方などの事情があります。制度上できることと、現場で実際に対応できることが一致しない場合もあります。
また、相手が基幹に対して良いイメージを持っていなかったり、そもそも基幹のことをよく分かっていない場合だと逆に状況が拗れてしまうこともあります。だから、まず確認したいのは、「何を伝えてほしいのか」「これまでどんなやり取りがあったのか」ということです。
必要なのは、基幹から強く言うことではなく、お互いの事情を確認し妥協点を考える機会を設けることです。
担当者が動きやすくなるように情報を整理することもあれば、基幹も一緒に訪問したりカンファレンスに参加することもあります。今後似たような状況になった際、どのように動けばよいかアドバイスをすることもあります。関わり方は、そのときの状況によって変わります。
筆者自身は基幹が代わりに何とかするというより、関係者が一緒に動ける形を「自分たち」で考えられるようサポートしていくのが仕事なのだと思っています。
会議が終わっても、会議の仕事は終わらない
協議会や部会、関係機関との打ち合わせ、個別の支援会議など、基幹の仕事には会議の開催・参加もあります。会議が続くと、「今日はほとんど職場に戻れなかった」という日もあるのではないでしょうか。
しかも、会議の時間だけが仕事ではありません。日程を合わせ、資料を準備し、当日は司会と記録を兼ね、会議が終わったら記録をまとめて、参加者に配布する。そこで決まったことを、次の動きにつなげる必要もあります。会議が意味のあるものと参加者に感じてもらえなければ、継続しての会議の開催も危うくなります。
1時間の会議でも、前後の作業を含めると、それなりの時間がかかります。
会議や地域の連携づくりも、基幹の業務の一つです。ただ、予定が重なると、相談対応や訪問、記録の時間とのやりくりが難しくなります。見直すとしたら、会議の数だけでなく、その進め方も含めて考えたいところです。
情報共有だけなら資料で済むのか。その資料をどのように作るのか。今回は何を話し合い、どこまで決めたいのか。参加する人は誰が必要なのか。そもそも集合形式にする必要はあるのか。
目的や意味合いが整理されると、準備する側も参加する側も色々と動きやすくなり負担の大きさも変わってきます。会議を開いたことで終わらず、その後に何が変わったか、どこまで進んだのかまで確認できると各自が会議に参加する意味や必要性を感じられると思います。
幅広く聞かれるけれど、即答できないこともある
障害福祉サービスのこと、子どもの進路のこと、医療との連携、介護保険への移行、支援方法など、基幹に寄せられる相談の内容は幅広いです。
制度の話をしていたはずが、住まいや家計、家族関係の話につながることもあります。
幅広い知識は必要ですが、一人の相談員がすべてを詳しく把握しているわけではありません。制度の変更や、自治体ごとの取り扱いを確認しなければ答えられないこともあります。また障害特性やそれに基づく支援方法の相談に関して、基幹は専門外です。
そんなとき、相談員によっては「基幹なのに分からないとは言いづらい」と感じることもあります。特に新人の相談員にその傾向が見られます
でも、曖昧なまま答えてしまうと、相談した人がその情報をもとに動き、後から困ったりトラブルになる可能性があります。
「そこは確認してからお返事します」
「この内容は、こちらの機関にも聞いてみましょう」
そう伝えることも相談員として必要な対応です。何でも知っていることだけでなく、確認先を見つけ、必要な人にアドバイスをもらったり、他の機関につなぐ。受けた相談内容に応じて適切に判断して行動することも、この仕事に求められる力だと思います。
何をして忙しかったのか、説明しにくい
一日中動いていたのに、振り返ると「今日は何をしていたんだろう」となることがあります。
電話で状況を確認し、別の機関に連絡を入れ、会議の日程を調整する。相談員からの相談を受け、一緒にケースを整理する。こうした仕事は、相談件数だけでは見えにくい部分があります。
特に相談業務はすぐに結果が出る仕事ではありません。何度かやり取りを重ねて、ようやく関係者が集まって、そこからやっと動き出すことも「ざら」です。
そのため、件数だけで業務を振り返ると、実際にかかった時間や負担が伝わりにくくなります。人員や待遇について考えるときも、「忙しい」「大変だ」「時間が足りない」「業務が回せない」という言葉だけでは、具体的な解決に向けての話しには進みません。
どの業務に時間がかかっているのか。予定外の対応がどのくらいあるのか。今の体制では、何が後回しになっているのか。細かく記録しすぎると、その作業自体が負担になりますが、無理のない範囲で見える形にしておくことは、法人や行政と業務体制を相談する材料になります。特に福祉分野はこの「見える化」することに苦手意識があるので、その改善も兼ねて取り組んでも良いのではないでしょうか。
やりがいはあっても、それだけで仕事を回し続けるのは難しく、無理がたたれば自分自身が壊れてしまうので、個人の頑張りに任せず、続けられる体制を考える必要もあります。
基幹(組織)によっては対応できている場合も
同じ仕事をしている人と話すと、「うちもそうです」となることがあります。それだけで何かが解決するわけではありませんが、自分の職場では当たり前になっていたことを、見直すきっかけにはなります。
別の基幹では役割分担をどうしているのか。会議の準備を誰が担っているのか。相談が重なったときは、どう優先順位をつけているのか。これは筆者の経験ですが、同じ悩みでも各基幹ごとに対応の仕方が違ったり、上手に対応が出来ているということも多いです。
反対に、複数の基幹で同じように困っているなら、各職場の工夫だけでは解決しにくい課題という見方もできます。
「どこも大変なんだね」で終わらず、工夫できることと、(地域の相談支援)体制として相談することを分けて考えられると良いと思います。
まとめ
今回は、基幹相談支援センターの仕事で起こりがちなことを6つ挙げてみました。
- 対応に迷った相談が集まってくる
- 「基幹から伝えてほしい」と頼まれる
- 会議の前後にも仕事がある
- 幅広い相談に、確認しながら対応する
- 件数だけでは忙しさが伝わりにくい
- 同じ状況でも、基幹によっては対応できていることもある
皆さんのところでは、いくつ当てはまったでしょうか。
基幹に相談が集まることは、頼りにされている・存在が認知されている証拠ではありますが、頼りにされることと、何でも抱え込むことは別です。
行政や相談支援事業所、関係機関と役割を確認しながら必要なところでは一緒に動き、基幹自身も困ったことを共有し、働き方や体制を見直していく。そんな取り組みを続けながら、地域の相談支援を一緒に作っていければと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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